MENU

【和菓子】白あん、ずんだあん、うぐいすあんの違いとは?餡の種類を原材料別に解説!

目次

「餡」とは


餡(あん)とは、食べ物の中に「詰めるも」を意味する言葉です。
よく同じ意味で使われる言葉で「餡子(あんこ)」がありますが、あんことは日本独自の手法により豆類に砂糖を加えて煮ることにより甘みを持つ練り物のことです。主に小豆を使用したものが一般的です。

和菓子でいう餡とは、一般的にあんこのことや、野菜と砂糖を煮て作る詰め物のことを意味します。

餡の登場は推古天皇が登場する飛鳥時代にまで遡ります。かの有名な小野妹子が遣隋使として中国に派遣された頃に、中国から餡が伝来したとされています。
古代中国では菓子に肉が餡として使われていました。そこから日本独自の手法が加えられ、現在のような「あんこ」になりました。

つぶあん、こしあんなど「あんこ」については次の記事で製造別に解説してるので興味があればぜひ一読ください。

今回は餡を原材料別に分けて解説していきます。

餡の種類(原材料別)

餡は原材料によって呼び方はもちろん、色や味、作られる和菓子が異なります。
名前は聞いたことあるけどこの材料を使っていたのかというものもあると思います。

白あん

白あんと白いんげん豆

白あんとは、手亡(てぼう)、大福豆(おおふくまめ)、白小豆(しろあずき・しろしょうず)、白金時豆(しろきんときまめ)など主に白い豆を茹でて潰し、砂糖などを練り込んだこしあんのことです。
ただ白い豆なら良いわけでなく、煮たときに大きな変色をしないという特徴もあります。

白あんは「白いんげん豆」を使用した白あんが最も流通しています。
白いんげん豆はインゲンマメ属の中でも白い実をつける種族の総称のことです。

インゲンマメの花


スープなどに入っている白い豆が白いんげん豆です。
手亡や大福豆、白金時豆は白いんげん豆の仲間になります。それぞれの違いは以下のとおりです。

・手亡(てぼう)
種の皮が白く、白いんげん豆の中でも比較的小粒なもの。業界内では大手亡と呼ばれることがあります。
もともと通常の手亡と比較して大き粒のものを大手亡と読んでいたそうですが、今ではほとんど大粒の品種しか栽培されていません。当時の名残から今でも大手亡と呼んでいるようです。
白あんの原材料として第一に挙げられるのが手亡です。

・大福豆(おおふくまめ)
手亡よりも大きく、平で楕円な白い豆。
生産量が少なく価格が高いため「高級菜豆(こうきゅうさいとう)」と呼ばれています。
価格に違わず見た目が白く美しく、味も良いです。
大福豆を使用して餡を作ると、スッキリとした上品な味わいに仕上がるので高級和菓子などに使用されています。
インゲンマメの王様とも言われており、見た目や味はもちろんのこと、栽培の難しさや値段の高さも王様たる所以といったところでしょうか。

・白金時豆(しろきんとき)
手亡の2倍ほどもある大粒の白い豆。
赤色の金時豆は北海道で栽培されているインゲンマメの大部分を占めるほど主要な豆で、金時豆の白色の品種が白金時豆になります。
金時豆の生産量は異常気象などで年々減少しており、値段は上昇しています。白金時豆は金時豆よりもさらに生産量が少ないので、高級菜豆に名を連ねないものの、非常に高価な豆になっています。
しっかりとした風味が特徴です。

最後に「白小豆(しろあずき・しろしょうず)」の解説です。
手亡、大福豆、白金時豆はすべて「白いんげん豆」の仲間でした。
一方、白小豆は「小豆(あずき)」の仲間です。正確には「マメ科ササゲ属アズキ亜属」に属します。
白小豆は白あんの材料の中でも特に高価で、味、見た目、香りが非常に良いとされています。
高級和菓子によく使用され、妥協せずに最高級の白あんをつくるなら白小豆が適切です。

白あんを使用した和菓子

・最中
・まんじゅう など


ずんだあん

ずんだあん

ずんだあんとは、枝豆を煮てすりつぶし、砂糖などと一緒に練り上げたもの。
そもそも「ずんだ」とは豆打と書き、枝豆をすり潰して調理したもののことです。
人によっては聞き馴染みがない言葉だと思います。

ずんだあんは枝豆をすり潰しているので画像のように緑色なのが特徴で、枝豆の香りとほんのりした甘さが美味しいです。

ずんだあんでも「茶豆」を使用したずんだあんはまた絶品です。
「茶豆」とは枝豆の品種の1つで、山形県・庄内地方で栽培されている「だだちゃ豆」が有名です。

ずんだあんを使用した和菓子

・ずんだ餅

ずんだ餅


・ずんだ大福 など

うぐいすあん

桜餅の中にあるうぐいすあん

うぐいすあんとは、青えんどう豆(グリーンピース)を煮詰めて潰し、砂糖など甘みを加えて練り上げたもの。
青えんどう豆を甘く煮たものを「うぐいす豆」と呼び、うぐいす豆の餡なのでうぐいすあんといいます。

そもそもなぜ「うぐいす」豆と呼ぶのかというと、鶯(うぐいす)の羽の色に似ているからみたいです。

ウグイス

確かに写真を見ると、浅い緑色でどことなく青えんどう豆と色が似ていますね。
味はえんどう豆の風味と甘さが特徴です。

ずんだあんと非常に似ていて混乱するかもしれませんが、ずんだあんは枝豆が使われ濃い緑色、うぐいすあんは青えんどう豆が使われ淡い緑色です。

うぐいすあんを使用した和菓子

・うぐいす餅
・うぐいすどら焼き など

まとめ

今回は原材料別に、白あん、ずんだあん、うぐいすあんの解説をしましました。

白あんとは、手亡(てぼう)、大福豆(おおふくまめ)、白小豆(しろあずき・しろしょうず)、白金時豆(しろきんときまめ)など主に白い豆を茹でて潰し、砂糖などを練り込んだこしあんのこと。

ずんだあんとは、枝豆を煮てすりつぶし、砂糖などと一緒に練り上げたもの。

うぐいすあんとは、青えんどう豆(グリーンピース)を煮詰めて潰し、砂糖など甘みを加えて練り上げたもの。

中でも白あんは他と比べると割合多く和菓子に使われており、白あんの材料も白小豆や手亡など複数あり、非常に奥が深いことがわかります。例えば手亡にはブランドなどもあり、知れば知るほど新たな知見が得られてマニアックに学ぶのもいいなと思わされます。
他にも深く原材料や和菓子について解説していきますので他の記事も見ていってくださいね。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

和菓子業界で働くサラリーマン。
教員歴があり、教えることには自信あり。
業界にいるからこそわかる専門的な視点から和菓子を解説!

コメント

目次